われわれは日常何げなく話し、書き、聞いて周囲との情報伝達を行っています。多くの人は、現状のままで事足りていると思い、あまりコミュニケーションそれ自体の見直しをすることはありません。
しかし、相手の性格や、行動に起因すると考えている事柄でも、よく調べてみると、多くはコミュニケーションの錯誤によって発生していることがわかります。コミュニケーションは、私達が考えているよりも、ずっと危ういものなのかも知れません。
ひとつの企業や、事業においては、どうでしょう。新しい事業に乗り出してみたがうまく行かない。
プロジェクト・チームを組んで新規顧客にあたったが、失敗だった。
原因は本当に、担当者の資質や、運営方法だったのでしょうか。
皆がわかっていると思いこんで、重要な基本概念を何の説明もなしに使う。部門間で異なる使い方をしている言葉に気付かない。目的を明確に示さず、全員がわかっていると思いこむ。
プロジェクトに取り組むうえで、共通言語の設定や、基本となる関連概念をまとめておくことは、もっとも重要な課題となります。
ブロスの調査、企画業務は、そこから出発します。その事業に携わるすべての人に事業意図を浸透させる。業務を進めるうえで必要となる概念を理解していただく。全体の業務の流れを周知徹底する。そして、全員が共通の問題意識を持ち、をれに真摯に立ち向かってゆく。私達は全員、与えられた直面する問題を解決するのが仕事なのであり、行き違いなどによって生まれる新しい問題に関わっている時間はありません。
徹底的なヒヤリング、打合せ。
執拗ともいえるコンセプト・ワークの積み重ね。
最終的に正しい解を求められるか否かは、問題がどこまで明確であるかにかかっているのです。