以下は、平成21年1月に、22周年を迎えた際の社長挨拶です。再掲いたします。
□創立22周年を迎えて
皆様にはご清祥のこととお慶び申し上げます。いつも株式会社ブロスをご愛顧くださり、誠に有り難うございます。
2008年は、近年にない閉塞感と共に終わりました。メディアには悲しく重苦しいニュースがあふれています。金融危機に端を発した世界経済の蹉跌、終わりのないテロリズムに現れた地域・人種間の扞格、何より人と人との小さな齟齬が情報化によって拡大再生産され、世界全体を埋め尽くしているように見えます。
先日、Designなどの道を目指す高校生たちの前でお話しする機会を得ました。
正直、すでに日本はモノを造り出す環境としては悪化していると、その壇に立つまでは申し上げるつもりでおりました。創造の道を歩まれるなら、どうぞ留学をと。
しかし、その若い皆さんの顔を見て、すぐに思い直しました。
禅の言葉にも、「初発心時 便成正覚 しょほっしんじ べんじょうしょうがく」とあります。宮本武蔵も、その著書に引いております。
「悟りを求める心をはじめて生ずるとき、それはそのまま最高の仏の悟りに結びつく」と言う意味だそうです。新しい道を目指そうという皆さんの瞳には、ある種のエネルギーがありました。道を志した時の心の持ちようが、最もその道の奥義に近づいているということでしょう。
若い皆さんの輝く顔に、気づかされました。誰よりも、社会の中核を担う私たち世代が元気を出して、訳知り顔の評論家気取りをやめ、浅薄なペシミズムをかなぐり捨てて、今いる場所で、世の中を良くしてゆくために前進するべきだと。
そうです。私たちには、モノを造り出すという、強い武器があるのです。
時間の限り、「30年前の自分に伝えたいこと」をお話ししたのですが、教えられたのは間違いなくこちらのほうでした。自分の歩む道について、再考できた一刻でした。
2009年1月、株式会社ブロスは創業22周年を迎えました。弊社慣例に従い、相当額を世界中の子供たちのためユニセフに寄付させていただきました。
「意志あるところ道あり」と申します。
社会状況は厳しい年となりそうですが、今後とも倍旧のご支援ご鞭撻を賜りますよう、伏してお願い申し上げます。
A chi vuole non mancano modi.
平成21年1月
代表取締役社長 徳武 智和