○ オーナーの立場で気づいたこと
─このほど、集合住宅のオーナーになられたそうですね。
徳武■ええ、私の事務所が入るビルを、建てることが出来ました。 設計事務所を開設して以来、個人住宅から公共建築まで、あらゆる建物を設計してきましたが、自分の事務所と自宅と、集合住宅の併用型を計画するとは、最近まで思っていませんでした。
旧事務所のあった藤沢市湘南台の交通アクセスが急速に良くなったことで、この環境を生かした建物を計画してみようかと考えたのです。
─この体験はいかがでしたか。
徳武■お恥ずかしい話ですが、知っていることと経験してみることの違いを、改めて感じました。集合住宅なら、いくつも設計してきたのに、やはりオーナーの立場には、なり切れていなかったのだな、と。
私の事務所は、建築設計だけではなく、市場調査やグラフィックデザインまで手掛ける「業際的」な会社なのですが、それでも、不動産経営的な立場で、気づくところは多かったですね。
─どんな部分でしょう。
徳武■大きく3つあると思いました。
ひとつめは、不動産経営は、まだまだ戦略的に見直す余地があるということです。
ふたつめは、オーナーをサポートするシステムが、社会的環境として、用意されていないということ。不動産、建築、財務管理などを横断的にコンサルティングできる体制が、不足しているんですよね。
三つめは、社会全体で、土地という資産を生かす道筋が未整備な点です。
ビレットブロスへもどる≪ ≫つぎへ
ビレットブロスのコンセプト1 雑誌掲載記事より転載 2001年3月
□ 建築家とオーナーの二つの立場を経験
社会的なシステム整備の必要性を痛感