○ 不動産経営に、もっと戦略的思考を

─ひとつずつ、詳しくお話し願えますか。ひとつめの、不動産経営の戦略については。

徳武■たとえば、十数年前には、賃貸ワンルームと言えば、20平方メートル以下でした。ミニキッチンに、3点式のユニットバス。駅近傍ならコンパクトに、そうでなければ、少し広めに収納を取って。
 結婚年齢の上昇や、価値観の多様化によって、今後ますます、単身者は長い期間、賃貸住宅に住むことになります。 現在でこそ、独立型のトイレを取る例が一般的になっていますが、十年先を考えたら、今までのようなワンルームを選択する人が少なくなることは確実です。
 また、これからは老朽化した建物をすぐに建て替える時代ではありません。産業廃棄物の4割が建築廃材であるという事実を別にしても、建物という社会資産を、長期間使ってゆく方向になるのは間違いないのです。遠い先のメンテナンスまで考慮した計画を、今の収支に優先して提案できるか。社会状況が激変するなかで、将来を見越した予測を立てられるか。
 いまだに、「この駅周辺は経験的に2DKがいいから、その間取りを並べた」というような計画が多いような気がします。

○ かけがえのない土地資産を生かすには

─ふたつめの、オーナーをサポートするシステムについては。

徳武■建物オーナーになるパターンとして一番多いのが、建設会社やハウスメーカーの営業マンに説得されて、建てる方ではないでしょうか。でも営業の方は、コンサルタントではない。どうしても自社で建てやすい、説明しやすい計画を勧めることになります。
 建物の計画は、土地というかけがえのない大事な資産なのに、それを大局的に検討するのは、オーナー自身しかいません。融資をする銀行も、リスクを恐れてか専門業者の紹介しかしない。素人であるオーナーが、ひとりで戦略立案から、財務管理、雑用までこなさなければならないのです。
 一つめの例でもお判りのように、現在収支を中心とした計画ではない、長期的な視点を持ったコンサルティングという職能がいないように思います。



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ビレットブロスのコンセプト2 雑誌掲載記事より転載