□社長のこと 46 M.S.
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社長の仕事量 リターンズ5
驚愕のプラン生産数に、果たして社長の反応は?
久しぶりに、私の案がほぼ100%通ったこの企画、反響が半端なものではないのは、前回少しお伝えしたとおり。
それでは本人の反応はどうだったのか?
業者さん達からは、この点を早く教えてくれと言う声が多数集まった。
さて社長の仕事量をおさらいをすると、
社長は21年間に戸建住宅3045戸、集合住宅1851戸、その他の住宅1379戸を企画しており、その総数は6275となる。
そのうち、戸建住宅約1500戸、集合住宅6350戸が実際に建設された。社長の計画した住宅には、2万3千人、日本の人口の0.019%が住んでいる。
この数字を聞いたときの徳武社長の第一声は
「それは大きすぎる」
だった。
社長の仕事が量的に大きいことは、以前から社内ではわかっていたので、3年ほど前に、プラン数などを概算で出していた。社長のプロフィールなどにもその数字が使用されてきたので、そちらをご覧になった方も多いと思う。
社長自身もほぼその数字を納得していたから、対外的な発表数字として採用してきたのだろう。ちなみにその数字は、企画ベースで戸建住宅2000戸、マンション1000戸だった。
算出方法は過去3年間の数字からの類推だったので、誤差が大きいと考えて低めにしたようだが、意外に近い数値だなあという印象。
社長の感想、いってみましょう。
「この数値を公表することには、正直強い抵抗感がある。ひとつは、あまりに大きな数字であるために、信用されないで信頼を失うこと。もうひとつは数をこなすだけの設計屋に見られること。
やった数なんかあくまで結果であって、それを目指したことなど、一度もないのだけれどね」
「設計行為は数値ではない。たくさんやったからと言って偉くも何ともない。多くの人間が認めるような建築を、生涯にひとつでも創造できれば、すばらしいこと。僕はまだそれを造ってはいない」
「最初に建築設計の世界に飛び込んだとき、それは大学2年生だったんだけど、ある大規模設計事務所にお世話になって、半年ばかり経って考えたのは、次の点だった。
建築というのは、経験の世界だ。量をたくさん経験すればするほど、高いレベルに到達できる。そして種類をたくさん経験すればするほど、高いレベルに到達できる」
「だから僕は、どんな仕事でも断らないでやる。人の3倍働くと決めた」
「社会人になったときから、一貫して職人にあこがれがある。無名性と仕事への打ち込み方において。この数字を見ると、自分が職人であると強く感じる。やはり人間は、望んだものにしかならないのかもしれない」
「僕は住宅の設計を、ルーティンワークとしてやったことは一度もない。いつも全力で、与えられた条件を最大限生かした設計を心懸けてきた。いつもプランを考えている。食事の時も、寝ているときも」
この「寝ているとき」の意味は、ちょっと説明が必要かもしれない。
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