デジタルライフは私たちの日常の風景になっています。
当たり前のようにメールをやりとりし、ウェブサイトで情報を得、文章を書き、写真を保管し、音楽を聴いています。ブロードバンド化している方は映画の予告編さえコンピュータで鑑賞しているかもしれません。
少し前までは(本当に少し前、2年くらいでしょうか)アナログの生活とデジタルの生活の間には、努力して飛び越えなければならない溝があって、それを跳び越すためにはある程度のコンピュータの知識やトラブルへの覚悟が必要でした。
しかし今では、個人差はあるにしろ、デジタルは実質上ライフスタイルの大きな部分を占めています。デジタル機器を使うためのストレスは大幅に軽減されたと言ってもいいでしょう。
住いづくりの中では顧客間とのコミュニケーションや業者の打合せ、図面の作成ややりとりなど、デジタルデータによる情報交換はすっかり一般化してきました。
この状況の変化に合わせて、家自体は発達しているでしょうか。
残念ながら、ほとんどできていないのが現状です。だいたい現在実用化されている情報家電のイメージは、20年前とあまり変わっていないように思えます。
これは建設関連とは違う分野の話になってしまいますが、外からエアコンの付け消しができたり、電子レンジにレシピが送られてくる等の情報家電など、貧困な発想では何も変わってゆきません。ライフスタイルを大きく変化させるようなアイディアが無い限り、一般家庭が家電をオンライン化する意味はないと思います。
それでは、この近年のデジタルライフの変化に対して、住まいはどう対応したらいいのでしょうか。
ひとつめは、情報用の幹線を自由度の高いものにしておくことを挙げたいと思います。
人間の家の出入り口である玄関ドアにこだわる方は大変多いのですが、電気やガス、情報の出入り口に一家言ある方というのはなかなかいない印象です。オーディオマニアと呼ばれる方々は、かなり電源にこだわられるので、そういったお宅もいくつか手がけてきました。これからは、情報のラインである電話や光ケーブルを重視してゆく必要があります。
ふたつめは、ハードの置場にあまりこだわらない方がよいということ。
確かに現在では、コンピュータにしろビジュアル家電にしろ、ある程度の大きさと存在感を持っていますが、ごく近未来、ハードはなくなってしまうかもしれません。
ハードの置場は不要になるかもしれませんが、映像を見る、音楽を聴くという空間はなくなることはないでしょう。その意味で、場所重視から空間重視に、発想を転換してゆく必要があります。

すまいづくり雑感
□ デジタルライフについて
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