最近の子は小さなころから保育園、幼稚園に通います。小学校に上がると、昼間の大半を住まいの外、家族の目の届かないところで過ごすことになります。さらに成長するにつれて学習塾、お稽古ごと、スポーツクラブとその幅は広がっていきます。子供たちの生活はおおかた学校や住まいの外によるサービス産業の「客」として「消費」されているという言い方もできます。子育ても今や外部化しつつある、住まいの外、家族の場面の外側に存在しつつあるといえるでしょう。
NHK人間講座藤原智美「住まいから家族を見る」より



近年の、情報過多と青少年をターゲットにするコマーシャリズムの蔓延は目を覆うばかりです。

社会全体が子供を食い物にしている禿鷹のようです。こんな時代のマイホームは、どんな形がいいのでしょうか。また、そのコマーシャリズムから逃れられないとすれば、どんな対策を住まいづくりの際にしておけばよいのでしょうか。

まず挙げられるのは、家の外では「客」として「消費」されているのだから、家の中ではお客扱いしないという点です。仕事柄いろいろなご家族と打合せをさせていただく機会がありますが、驚くほど多くのご家庭で子供たちを「お客様」扱いしています。

母親なのに、父親より子供たちに丁寧な言葉を使う場面に出くわし、思わずメモを取る手が止まったことさえありました。子供たちも、お客風を吹かすことが常態化しているようにも見受けられます。

住いづくりにおいて「客」扱いしない方法は、私なりにいくつかの手法を持っています。

よく、動線をできるだけ分離しないプランを推奨するハウスメーカーがありますが、それだけでは充分とはいえません。

マニュアル的に列挙できれば読み物としては上等なのでしょうが、残念ながらそんな簡単なものではありません。住まいの広さやプランの構成、ご家族の関係などによって選択する手法が変わるので、そのへんはプランを創らせていただく中でお伝えするしかないのです。

すまいづくり雑感
□ 「住まいから家族をみる」より 5
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