弊社では、よく設計事務所のホームページに設けられているような作品集を作っておりません。
それには、大きく4つの理由があります。
ひとつは、顧客のセキュリティ上の問題。
弊社プライバシーポリシーや弊社作品の記録画像の利用基準のページでも述べたように、弊社の作品は弊社が著作権を有する著作物であると同時に、お施主様の所有物であり、生活の場であります。
住宅作品では特に、ご家族が画面に映っていなくても、被写体は個人情報に属するものだと弊社は考えています。
ホームページや各種媒体への掲載時には、細心の注意を払っていますし、建て上げ地が判る紹介はしないよう社内規定で縛っておりますが、間取りや開口部の種類、鍵の形式まで判別できてしまうことを考えると、慎重にならざるを得ないのが実情です。
ふたつめは、弊社の業態によるもの。
弊社のコンセプトページに紹介しましたように、(コンセプト1,Tandemの項)弊社は直接顧客の依頼で設計を行うよりも、他社の下請けとして設計を請け負うことが多い会社です。
その際には弊社の名前を出さない契約であり、またコンサルタント会社という弊社の側面では、業務に関する情報はほとんどが「守秘義務」の対象となります。
特に店舗設計やマンション設計の分野では、この例に含まれることが多くなります。
3つ目は作品写真をたやすく盗まれてしまうこと。
弊社も一時期、作品ギャラリーを作ってホームページ上で発表していました。デザイン事務所でもある会社としては、フィルムや印刷物からのスキャンや解像度の低い画像では当然納得できず、デジタルカメラで作品を撮影し直したりと、かなりの労力を払ったのでした。
ところが建築業界のモラルも他と同じく、たいへん低いところにあり、不動産業者、開発業者、マンション業者、ひどい例では設計事務所までもが、弊社作品の画像をHPやチラシに載せる始末で、ほとほと対応に疲れました。
そのような例を見つけたり通報いただいたりで連絡を入れて、こちらの苦情の内容を理解させるまでが一苦労、それをクリアしても「担当者がいない」「経緯を調査する」ですぐ1〜2ヶ月、数ヶ月の後HPなどから削除されても今般お定まりの「参考資料として使っていたのだが、単純ミスで紛れ込んだ」「著作権を侵害する意図はなかった」の結論で、見たこともない加害者はゆっくり眠れて、後味の悪さだけが被害者であるこちらに残って、スタッフ一同地団駄を踏んで終わりという最悪の結末。
弊社のような小設計事務所には、あまりに荷が重い著作権のプロテクションなのです。
4つ目は、設計イメージを固定化したくないため。
前に述べたように一時期弊社が作品ギャラリーを掲載していた頃よくあった依頼は、「あの写真のイメージが気に入ったからああいう家が良い」「この場所はこの写真の感じでまとめて」といった種類のものでした。
確かに弊社の作品写真を気に入っていただくのは、本当に有り難いことなので、不平を言う種類のものではないのですが、そういった依頼には、設計の依頼として大丈夫なのかなという思いがあります。
特に住宅の設計では、こちらは建て上げ地の周辺環境や敷地状況と、お客様の家族構成や性格を読み取って、その方にベストな提案をしようと思っているので、正直そういった依頼方法には少し違和感があるのです。
実を言いますと、ホームページ上には弊社作品の写真が多数掲載されています。特段の注記等を入れずに、カットとして入っている場合がほとんどです。
少なくはない弊社ホームページのページ数ではありますが、隅までご覧頂いて、弊社作品のイメージを捕まえていただく方法をとっているのも、上記理由からであることをご賢察いただけますよう。
(トップページからの隠しリンクもあります。お時間のあるときに探してみてください)
口幅ったい物言いで、誠に恐縮なのですが、さまざまな状況を考えての弊社の姿勢ですので、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
以上
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