□社長のこと　３４　　　　Ｍ．Ｓ．

○月×日

ドキュメント　設計コンペ　２


４日目
月曜日、都市計画の修正を覗きながら、コンペ案の外構計画を再指示。
コンペは平面図と外構計画を作成。立面図の修正。
報告書修正を終わらせ、夕方メール納品。
都市計画系のマップ修正ができたので、チェックの上納品。
昨日つくった戸建住宅企画案をスタッフが入力したものをチェックして出力。
今回のコンペはインテリアパースがあるため、平面計画以外に、内装計画と家具配置、照明計画が必要になる。それらを、これまで作った図面に指示してゆく。インテリアのイメージ写真選択。
２１時過ぎ、客先からコンペの販売計画の概要が到着。
２３時ころコンペ案の残り区画のプラン作成開始。
コンペ用書式作成。

５日目
朝から、残り区画の立面図を作成。
午前中はパースの打ち合わせ。
この鳥瞰パースを２日で仕上げる外注さんもすごい。
パース作成は、今日と明日しかないのだ。
午後はスタッフにコンセプト用イメージ写真を集めることと、コンペ用のロゴタイプ案作成、それから昨日届いた販売計画案がファクスなので入力を指示。
他のスタッフが、インテリアパース作業、終日。
夕方から、都内某所のクラブ店舗打ち合わせに社長出掛ける。
２２時に帰社して、イメージ写真とロゴタイプ案を選択。
クラブ店舗イメージ作り。

６日目
社長はコンセプトシートを仕上げ。
コンペ用書式をすべての図面に展開。
夕方、社内で別の戸建住宅のプレゼンテーション。
終わったところでコンペのインテリアパース仕上げ。
ここで社長の気が変わり、作成した立面図８枚のうち、２枚しか使わないことに。
それ以外は鳥瞰パースのためだけに作ったことになる。
これだけ苦労してるのに、社長は第三者の眼でプレゼンテーションの内容を判断しているのだろうか。つくったものは全部見せれば良いのにと思うのが、私もまだまだの証拠。
パース２０時に打合せ予定が２３時にずれ込み。視点の選択と細かい仕上げの指示。
明日、顧客プレゼンテーション予定の共同住宅案の外構計画をチェックして出力。
パース案を除くコンペ案の図面１４枚を仕上げ。
朝７時に終了。

７日目
スタッフが出社したところ、なんと社長が持病で倒れたとの知らせ。
衝撃が走る。社長、過労！！！と誰もが思うが、誰も言わない。
社長が病院へ直行したところに鳥瞰パースが納品される。
奥様が、本日プレゼンテーション予定の客先にお詫びの電話。
昼すぎ、病院の社長から携帯電話。
待ち時間に抜け出して風除室で電話しているとのこと。
元気そうだと目で合図。
皆少しほっとすると同時に、今度は納期が心配に。
今回の納品はボード化したものがあるので、宅配便で納品。
明日の正午に締め切りなので、明日１０時までに客先に届かなければならない。
時間指定だと、原則は１９時に集荷。
それに遅れると、明日客先に誰かが届けることになる。
社長は鳥瞰パースを撮影して携帯メールで転送しろとの指示。
それと同時に、パース屋さんに会社に待機しろと。
今これを書いているとあきれるが、そのときはスタッフも必死。
全体と部分１２分割を撮影し、メール用に加工して送る。
届いたものから、間欠的に指示電話。
到着していたパース外注さんが修正してゆく。
１６時に社長帰社。
「大丈夫、死ぬまでは生きてるよ」と軽口をたたきながら、すぐにパースのチェック。
前景の樹木の枝振りと屋根の影を修正。
出力をして、ボード化が終わったところで、１９時に宅配便業者さんが来てしまう。
レジュメ製本と梱包がまだなので渡せない。
宅配便業者さんに謝って、２１時に集配センターに車で持参。
社長は、一言「皆良くやった。もう寝るよ。」といって自宅へ。
スタッフ全員放心状態。
いつものことだけど、コンペはきつい。
今回は最終日に大波乱があったが、納期に遅れなくて良かった。
数ヶ月に１回位は、こういうお祭りじみたイベントがある。
プロジェクトX、実体験というところ。

次の日朝、出社すると、社長何事もなかったように、仕事してた。
やっぱり、ノホホンとした会社じゃないでしょ。







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