□社長のこと 36 M.S.
○月×日
建築と人生
社長のすごいところは、これだけ働いても、疲れたようには見えないこと。
持病がいくつかあるが、痛いとか疲れたとか、つらいなど、マイナスイメージなことはめったに言わないし、状況を冷静に話すことはあっても、決して弱音をはかない。
実は先日、店舗の現場で大変なことがあり、その話をしていて出た社長の語録をまとめて。
「建築だから、現場生産、一品生産の良さと悪さから抜け出ることはできない」
「現場ではすべてのコトが起こる。予想もしない悪い事と、期待を超えた良い事の両方が」
「問題が起こる。何とかなることは対処法があるし、何ともならない問題は受け入れて先に進む。いずれにしろ、関係者に意思さえあれば、ゴールには近づいて行けるものだよ」
「起こってしまった問題をジャンピング・ボードにして、より良いものが出来たときはうれしいね」
「建築行為を総合芸術だと言う人がいる。私もそれを否定はしないが、絵画などの純粋芸術との、決定的な差がある。不安や悲しみ、恐れなど、人間の負の感情によってのみ作品をつくることが、一人で描いてゆく芸術では許されるが、建築家にはそれは不可能に近い。たくさんの人の気持ちによって創り上げられるものだから」
建築に携わってきた人ならば、思わず膝を叩くような、名言ぞろいかもしれない。
社長の生き方を見ていて、最も納得のいった言葉は、これ。
「建築に必要なのは、自分の経験・技術に根ざした確信と、根拠のない楽観」
“建築”を“人生”に置き換えてもよさそうな・・・
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