□値引きには3種類ある
値引き金額で喜んでいては駄目
ヒトクチに値引と言っても、大きく分けて三種類のものがあります。それを説明する前に、ハウスメーカーの原価などについて、簡単に説明したいと思います。
ハウスメーカーの売値は、販売原価と販売経費(荒利)からなります。住宅展示場を持つような会社の場合、販売原価は65%から75%と見てまず間違いはないでしょう。
仮に見積価格1000万円の家だとすれば、現場自体に使われる費用(販売原価)は、だいたい650万円〜750万円ということになります。残りの250万円〜350万円が、営業経費、展示場経費、施工経費に当てられるわけです。これを多いと見るか少ないと見るかは別として、現実にはほぼこの数字でハウスメーカーは仕事をしています。
さて値引の話ですが、大きく分けて三種類というのは、この販売原価と販売経費と密接な関連があります。一つ目は販売原価を削る値引、すなわち値引した分だけ、原価を減らして建物の品質を下げる形の値引です。二つ目は販売経費を削る値引、原価には触らず、販売経費を圧縮する形の値引。俗に言う営業努力というものです。三つ目はこれらの折衷型で、値引をある割合で原価と経費に割振って、それぞれを減らすことで値引を行います。
販売システムや後述する違いによって、この三つの値引形態は使い分けられます。実際には、二つ目と三つ目、すなわち営業経費を削るタイプと原価と経費両方に値引を振り分けるタイプが多く、値引をすべて原価から差引く例は少ないと思われます。
ハウスメーカーの構造形式によっても、値引形態は変化します。たとえば軽量鉄骨造の場合工場生産部分が多く、鉄骨の質を下げたりして躯体の原価を圧縮することは原則的に無理ですから、どうしても営業経費で値引の対応をすることになります。逆に、木造やツーバイフォーでは構造部分での原価圧縮が容易なので、いきおい値引を原価に反映させやすいわけです。
いずれにしろ、メーカー相手の場合、値引がないことは考えられないほどですから、その値引がどのタイプなのか、契約前にはっきり確認しておくことが重要です。この部分でまともな説明が出来ないようであれば、住いづくりのパートナーとしては失格なのではないでしょうか。